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- 2019.03.19 Tuesday
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劇団青年団を率いる平田オリザさんは、桜美林大学の演劇コースを立ち上げるときに、招聘されて尽力をされた方ですが、内閣参与、大阪大学、などでも、創造的な識見で貢献されています。『下り坂をそろそろと下る』のなかで、人の能力をどのように見るのか、育てるのか、貴重な提言をされています。
「PISA調査は、OECD(経済協力開発機構)が三年に一度行っている世界共通の学力試験です。ここでは以下のような能力が問われると言われます。
・習得した知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるか。
・図表・グラフ・地図などを含む文章(「非連続型テキスト」という)を読み込み、活用する能力。
・ただ回答をするのではなく、なぜそう考えたか、答えを出すための方法や筋道を説明する能力。
・情報の取り出し、解釈・理解、熟考・判断、そして、その結果としての自分の意見を、他者に向かって表現する能力。」
このPISA調査で、従来の日本の知識暗記型の一斉授業の方法では世界水準から大きく引き離されるという実態を重視し、ついに「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を2020年から導入することになりました。
・思考力を重視し教科の枠組みを超えた問題を出題する
・各大学の個別試験は小論文や面接、集団討論などを取り入れて多面的に評価する、といった方針を打ち出しているといいます。
「潜在的な学習能力」すなわち、大学に入ってからどれだけ伸びるかを試験の段階で見ろという方針なのです。
平田さんは、先駆的に大阪大学リーディング大学院の選抜試験で、実際に行ってきた方法を紹介しています。詳細は省きますが、平田さんがこの方法で何を評価の対象として見たのか。
「私たちが本当に見たいのは、たとえば、疲れていても他人にやさしくなれるか、自分と価値観の異なった意見にも耳を傾けることができるかといった寛容さや知的体力。またあるときは地道な作業にも献身的に参加し、あるときは局面打開のために創造性豊かな発言を行うといった柔軟性。様々な欲求、要望がぶつかる中で、どうにか折り合いをつけていく合意形成能力。もちろん、そのすべての能力を持っている必要もない。構成メンバーの得意・不得意を互いに把握し、役割分担をしていくこともリーダーの大事な素養だ。」
この文を読んで、わたしは心が躍りました。これこそ、モンテッソーリの子どもたちが、毎日、取り組んでいる事ではないか。幼児期の敏感期に、特徴的な「集中現象」を健全に経験してきたこどもたちは、小学生段階に入ると、協働的な学習が主になります。幼稚園では、おどろくほど静かな教室が小学校の教室では、活発に話しあい、調べ物をしたり、課題に取り組むので賑やかな教室になる。「協働的学習」の経験が深い所で人間の生きる力を養うのです。
JUGEMテーマ:建学の精神